★★ 佐渡を世界遺産に! 佐渡金銀山絵巻でみる錬金術師たち ★★

罪も2度目なら少しは上手に(セカンド・バツ)

佐渡の夕景

弘長元年(1261年)の伊豆流罪から10年、2回目となる流罪。

 伊豆での経験値もあり、お金のことや、身の回りのことなど、配流先・佐渡での生活の要領は、すでに心得ていたと思われます‥。

鵞目 一結(ガモク ヒトユイ)!?

【寺泊御書】『昭和定本 日蓮聖人遺文』((第一巻P.512)
下段❶にて「鵞目一結給候畢。心ざしあらん諸人は一處にあつまりて御読聞あるべし」
本文では、(中略)「此入道佐渡國へ可御供之由承リ申。可レトモ然ル用途かたかた有ルノ之故ニ還。(下略)」
現 代 語 訳
「鵞目(お金)一結を頂戴しました。(中略)この入道はあなたのいいつけであるから、佐渡の国へ御供をすると云うが、なにかと面倒なことでもあるから、ここで帰すことにする。」佐渡への途中、お金も送ってもらい、「入道」という弟子は帰らすとあります。

 文永8年10月22日付の手紙で宛所は「土木(トキ)殿」(富木常忍(ときじょうにん))です。
寺泊の地でしたためられたので、寺泊御書と云われています。

 やはり、いつの世も 先立つものは同じです。

『鵞目(がもく・ちょうもく・ががん)』(宋銭)

鵞鳥(ガチョウ)の目のような、穴が開いているので鵞目というそうです。
(ガチョウの目は丸いと思うのですが‥。)

【宋銭】(そうせん)
宋(中国)との貿易で砂金を輸出し、かわりに宋の銅銭を輸入して日本国内で使っていました。
寺泊御書寺泊御書 第七紙 『日蓮聖人真蹟集成』2巻111頁から転載
 寺泊御書は、ほとんど漢字です。日蓮聖人は宛先別に表記を変えていたみたいです。当時は字を読める人もが少なかったみたいで、配達するお弟子さんが手紙を読み聞かせ伝るするために、自分がわかるよう加筆してある書簡も結構あるみたいです。

 

 ところで、日蓮聖人が送ってもらった「鵞目一結」とは、
貨幣何枚で1結びなのでしょうか? 96文? 100文? 1,000文(1貫文)?

 ちなみに、当時の貨幣価値はwebサイト『国立歴史民俗博物館』のデーターベース検索でわかります。

 調べたところ、文永6年から文永12年の7年間で、お米取引のデーターが23件あり、お米1斗(10升)あたりの平均単価が97文でした。

 また、当時は現在の容量とは異なるみたいで、延久4年(1072年)の宣旨枡が文永年間にも通用していたとしたら、現在の約4.5合が当時の1升の計算になるみたいです(石川英輔(2003)『ニッポンのサイズ』淡交社)。

 お米1合が約150g。佐渡産コシヒカリ10㎏がスーパーで4,580円税別(2017年)で売っております。

 そうすると、「鵞目一結」を現在の貨幣価値(お米換算)でみてみると、100文だと約3,500円。1貫文だと約35,000円という計算になります!?

※文永10年(1273年)7月6日【土木殿御返事】では、「鵞目二貫」を送ってもらってます。(7万円相当?)

 

日蓮聖人ご一行様の来島は、都合何名?

岩間徳太郎(1939)『註附 佐渡名勝誌』によれば、

 「佐渡風土記「文永八年辛午十月廿八日、上下七八人にて越州寺泊より乗船にて、(中略)松ヶ崎村ニ着岸し玉へり(小名カウノ瀬)(下略)」

とあり、日蓮聖人ご一行は7~8名で佐渡に上陸したのでしょうか?

また、遺文によりますと

【呵責謗法滅罪抄】『昭和定本 日蓮聖人遺文』(第一巻P.790)
「是へ流されしには一人も訪人もあらじとこそおぼせしかども、同行七八人よりは少からず。」
現 代 語 訳
佐渡配流になって一人も訪ねてくる人はないと思っていたが、同行者は、7~8名より、少なくはない。?

つまり、8名より多い9名+日蓮聖人で = 日蓮聖人ご一行10名様でしょうか?

いづれにせよ、文永8年10月28日。西暦換算しますと1271年12月8日に日蓮聖人ご一行は佐渡の土を踏みました。

また、佐渡到着から25日後の文永8年11月23日(西暦換算1272年1月2日)、護送先の塚原の地で書かれた富木常忍に宛てた手紙には

【富木入道殿御返事】『昭和定本 日蓮聖人遺文』(第一巻P.517)
「小僧達少少還ヘシ候。此國ノ爲體 在所之有様 可有ル御問候。難候。」
 現 代 語 訳
「小僧達を何人か帰した。この佐渡の様子や、住んでいるところの様子を聞いてください。内容は手紙には書けません。」

 とあり、はたして何人帰って、何名残したのでしょうか?
また、手紙に書きにくい内容とは何だったのでしょうか?

罪も二度目なら 少しは器用に‥。

日蓮聖人の流罪に対する認識と現実が少し違っていたみたいです。

 

 

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プロジェクト名「2021年を佐渡の大観光交流年に!」

 

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